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2010.9.14

“濱町食堂(喜多方市)”

「黒い牛乳」

 私は、牛乳が苦手だ。小学校時代は、戦後の敗戦国への思し召しとしての、例の『脱脂粉乳』が給食で出され、私は、鼻をつまんでも喉を通らなかった。牛乳は脱脂粉乳とは違うけれど、どうも腹に消化酵素が無いのか、飲むとすぐゴロゴロとしてくるのだ。ところが、ある本を読んでいたら、それは無理やり高めた乳脂肪分が原因で生乳ではさらりとおいしく飲めると書いてあった。
 その本の題名が『黒い牛乳』である。著者は酪農家の中洞 正、幻冬社の経営者新書として出ている。刺激的な題名通り、内容も頭を洗われる(ちょっと変な言い方だが)ものであった。
 食肉も同じだが、牛乳は牛と言う生き物から食べ物として我々がいただいているもので、本来は自然な流れの中から手に入る物としてある食物が、巨大な人類を支える食料として、今では工業製品と同じように効率の追求の元、生産されている。乳牛は生まれてすぐに身動きも取れない狭いきゅう舎に固定され、高栄養価の穀物飼料を詰め込まれて、ひたすら高い乳脂肪の生乳を搾乳され、国の管理下で農協などの流通を通して大手の乳業会社から我々消費者の手に届く。
 こんな酪農の現実は経済的な破綻をきたしている。とうもろこしを中心とする輸入穀物飼料の高騰のためコスト割れが起きているのだ。さらに高栄養価を狙うためにその飼料の中には牛豚などの肉骨粉など混ぜられ、BSEの心配もある。それでも酪農家は、国の保護や農協の借金に縛られながらこの方式の酪農から抜け出せずにいる。
 著者の中洞氏はそんな舎育酪農を捨て、山地で自然放牧する酪農を成功させた。そして国の保護下を抜け出し、アウトサイダーとして独自の流通に商品を提供することにも成功している。 
 この本の面白さは、実はこの酪農の仕組みを知ることだけにとどまらない、山地酪農を広げることで利用されず荒廃したわが国の山林地帯を有効利用し、本来の豊な山林の自然を取り戻すことにもなる、示唆に富む提案がなされているのだ。


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