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2010.10.6

“雨上がり”

「フレンチブルーのワークコート」

 こんなことは、本当は言うのは恥ずべきことですが、私たちがやっている洋服のデザインはほとんど西欧の模倣でしかないと思っています。着物文化しか知らない私たちが洋服文化を受け入れてから150年しか経っていないのですから。ジャケットにしてもシャツにしても西欧の長い歴史の上に形作られています。われわれのできることはその基本デザインの上に自分たちの生活に見合った工夫を重ねていくことだと思っています。
 とは言いながら、この秋新製品として「ほとんど工夫もなくそのまんまじゃないか」といわれそうなものを発表します。それは『フレンチブルーのワークコート』。
 実は、昔から気にはなっていたのです。フランスやイタリアでは街中でこのブルーのコートが目立っている。八百屋、肉屋,花屋、パン屋と気取りのない町の商店で。裏道に回ると、自転車屋、車の修理屋、家具職人と決まってこのコートを着ているのが。それは、テーラー襟のついた外套のスタイルですから、ワーキング用としては決して機能的だとは思えないのですが、なぜかオシャレに見えました。
 その『フレンチワークコート』を偶然若者の古着屋で見つけたのです。ずいぶんと着古したものなのに結構な値段で、ちょっとためらいましたが、思い切って買ってみました。早速着てみると、これが着やすい。デザインが当たり前の膝丈のテーラー襟付きコートですから、着こなしに違和感がなく、スーッとおさまってしまう。生地も綿素材で馴染みがよい。早速、趣味の自転車いじりで着てみると、それほど動きの激しくない汚れ仕事にはちょうど良い感じでした。それよりも何よりも、着ていることで、一気に気分はパリの路地裏の自転車工房に飛んでいったのです。
 今回作った製品は、ポケットを追加したり、ベントを開けたり多少の工夫を加えてありますが、ほぼオリジナルに近いものです。使っていけば、機能性に不満や希望がたくさん出てくるでしょうが、まずはこのまま着てみて気分を味わってもらいたいな、と思い発表しました。なぜ、このコートが日本に伝えられてこなかったのか、われわれの洋服文化はどのように発達してきているか、と考えるきっかけにもなると思っています。


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