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2011.10.12

“こんばんわ”

「特権意識」

 ファッションと特権意識には、色々と関係性があると思う。人は着ることで自らの人格を強調したり、他の人格を装ったりする。金持ちであれば、ふんだんに贅沢な服を着飾るであろうし、流行の服装の中に自己を埋没させて、社会の中での安心感を求めたり、極端にはコスプレのように完全に別の人格になりきることもあるだろう。そんな中で、人はある種の特権意識を持つ。贅沢が出来ることへの特権意識、感度の良いオシャレが出来ることへの特権意識、無法や悪を強調した暴力的な特権意識など様々だ。
 最近、自転車ブームの中でもこんな特権意識が出ているように思う。スポーツ自転車の分野に“ピスト”というのがあり、一部の若者にうけている。ピストというのは競輪で使用するトラック専用競技自転車のことだ。この自転車は選手がフルに自分のパワーが引き出せる一枚のギアしか付いていない。そしてレース中にスピードを緩める必要が無いのでブレーキが付いていない。この結果、軽量であることはもとより非常にシンプルである。早く走るためだけに特化された姿は自転車の原点として美しいものだ。
 このピストを街で走らせることで問題が起こった。ギアが一枚なのは良いとして、ブレーキが無いことは大問題だ。ピストではギアの逆回転がフリーではないので、強制的にこぐ足を止めると車輪がロックする。すると、タイヤが滑り、下手をすると転倒する。ピスト好きはこれを面白がる。うまくタイヤを滑らしながら、いわゆるドリフトという技術を使って自転車をコントロールする。これが出来る奴がカッコいい。ここに特権意識が生まれる。もともと彼らはファッションに対する感度が高く、ピストのシンプルさもオシャレの一部だ。センス良くピストを乗りこなす自分は街のエリートだ。出来ればブレーキをかけたくないから、信号は基本的に無視する。それが、これだけフリーな乗り物に乗っていることの特権というものだと。
 このピストについに警察の規制が入った。今回は前後にブレーキを装着するようにというだけだが、自転車走行の信号無視はあまりにも目に余る状態だから、更なる規制の可能性もあるかもしれない。本来、理想的な乗り物であり、特権意識とは無縁であるべき自転車。乗る人間の意識改革が早急に必要だ。


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