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2011.11.16

“長年の足跡”

「スカート」

 人類が腰に毛皮を巻きつけて以来、スカートは衣服の歴史そのものである。人類は一体いつから衣服を身に着けるようになったのだろう。
 サルから進化して人類になっても、毛でおおわれている時代は裸でいたのだろう。地球の気候変動や、定地型となり体を守られる環境の中で生活を持つようになって、体から毛が無くなっていくと、必然として衣服が生まれてきたと考えられる。
 そして人類が男女とも最初におおうのが腰まわりだった。これは性器を守るためだったのだろうと思うのだが。キリスト教なら、アダムとイブが快楽を覚え楽園を追われるとき、恥をしのぐために性器をイチジクの葉で隠している。ここでは、単に保護のためだけではなく、性をコントロールすることで社会の秩序を作ろうとする宗教の意思が見えている。
 ともかくも、男も女も大事なところを守るために腰に巻いた毛皮が衣服の始まりでありスカートの始まりなのだ。やがて、体の各部分を守る機能的な道具として衣服は様々に発達していく。そして衣服を身に着けることで、地球の様々な環境に対応して生き抜き、人類を発展させることになった。
 それにしても、始めは男女の区別の無かったスカートはいつから女だけのものになったのだろう。やがて機能的に優れたパンツが出てくると、男女ともパンツで発達しても良かったはずだ。ところが、キリスト教が支配する中世ヨーロッパでは、男性支配社会の秩序を維持するため、積極的に男女の性差を強め、男はパンツ女はスカートを観念化させた。近世になるとスカートは女性の性的魅力を強調するための様々な工夫が展開されていくことになり、逆に男がスカートをはくことは性的倒錯という観念が支配していく。
 それが近代に入り、女性解放運動など女性の社会的復権に合わせて、女性がパンツをはくことは当たり前になった。今ではファッションの表現としても機能性重視としても、女性はスカートとパンツを自由に行き来する。ところが、そんな時代になっても男がスカートをはくことは依然として奇異なものとされる。

 私は、数年前にスカートに出会った。それは、南洋フィジーのマーケットである。洋服売り場で売られている男の巻きスカートを発見。ポリエステルのスーツ地で出来た膝丈ほどのスカートで、聞くと今でも現地では正装用との事だ。早速買って、その夜のディナーにビアスポのアロハシャツと組み合わせて出かけてみた。股ぐらがスースーして心細い感じがしたが、逆に開放的で、湿気の多い場所では快適なのではと思った。着こなしも腰で決まる感じで着物に似たかっこ良さがあった。運動機能性ではパンツにはるかに及ばないが、リラックス時には男がスカートというチョイスもあって良いと思う。

 そんなこんなで、今シーズン男のスカートを作ってしまった。「男がスカートをはくなんて」の抵抗は相当あると思うけれど、「男が弱くなって」といわれる昨今、男のファッションを解放して、女性と同等の男性復権を目指しましょうか。


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