[本日の写真]

2012.4.18

“思わぬ怪我を”

「習慣」

 早起きして毎朝散歩に行く習慣が最近崩れている。それは、毎朝映画を観る習慣に取って代わられたからだ。元々映画好きで、レンタルDVDを借りてよく観るのだが、レンタルショップの『一週間5本で¥1000』にやられた。休日の水曜日に返却に行くと、またまた5本借りてきてしまう。この習慣化が恐ろしい。
 最初のうちは見逃していた洋画の名作や、若い頃に気に入っていたヨーロッパ映画を見直したりしていたが、品揃えの限りもあり、以前では見向きもしなかった日本映画の旧作を観るようになった。最初は女優で「若尾文子」。大好きな女優なのだが、小学生のとき叔母さん家の納戸にあった婦人雑誌でみそめてから、テレビドラマのお母さん役の間が全く抜けていた。中でも増村保造監督とのコンビでは、可憐な女学生から、男を破滅させる魔性の女、激情をおさえる事が出来ない人妻と、様々な女を演じている。男の欲望の対象物としての女として描かれることが多かった時代にあって、女が自らの欲望を表出していく彼女の演技力とその魅力はすばらしいの一言だ。早々に「若尾文子物」を観尽くして、次は「高峰秀子」。文句なしの名女優である。彼女も様々な女を演じている。本人が持っている知性は、もちろん知的な女の役で十二分に発揮される、一方で底抜けに明るい能天気娘も出来るのだ。そんな「高峰秀子」。演技の中で時折見せる暗い表情が印象的だ。万人に好かれる理知的で明るい表情とのギャップの中に、人の計り知れない心の深さが表現できる女優だと思う。
 やがて女優シリーズも見尽くしてしまい、ここのところ監督物に落ち着いている。それは、「小津安二郎」。特に論評するのもはばかれる名監督である。「黒沢明」と並んでこの監督の作品も数多くDVD化されている。「東京物語」など、過去に何度か観た作品もあるのだが、黒沢映画とは正反対で、題材や展開にドラマチックは全く無い、淡々とした世界は、特にひきつけられるものが無かった。ところが、年齢のせいなのか、この淡々とした世界が心地よくてしようが無い。内容の中でしばしば出てくる娘の縁談の話や、クラス会をどうしようか等、それらはしばしユッタリしたリズムの音楽を聴いているようだ。さらに、自分の子供時代と重なる戦後昭和の時代背景がノスタルジーをかもし出す。どうやら、このノスタルジーを毎朝2時間ほど浴びているのが、その日一日の始まりを気持ちよくさせているに違いない。
 とは言え、小津作品もあと少しで全て見尽くしそうだ。そのときには、次の習慣化を探さなければならないのだ。


[ARCHIVE]

「ビジネス紳士」「気配」「映画『アーティスト』」「シンプル」
(2014-06-13) (2014-06-04) (2012-10-17) (2012-09-04)
「競歩」「縛られたくない」「アイビールック」「横好き」
(2012-08-08) (2012-07-25) (2012-07-03) (2012-06-13)
「怒るおじさん」「小腹」「習慣」「極薄」
(2012-05-29) (2012-05-16) (2012-04-18) (2012-04-04)
「ジャクソン・ポロック」「深読み!日本写真の超名作100」「フェチ」「今年の暖房」
(2012-03-22) (2012-03-06) (2012-02-21) (2012-02-07)
「スカート」「長い一日」「特権意識」「くつろぎbeaspo」
(2011-11-16) (2011-10-25) (2011-10-12) (2011-09-15)
<<前のページへ1234567次のページへ>>
351件中: 21から 40件

● この「デザイナーズルーム」へのご意見、ご質問のある方は下記のアドレスへE-mailをお送りください。
デザイナー 武捨光晶/musha@mvj.biglobe.ne.jp

株式会社ビアスポ beaspo@mua.biglobe.ne.jp
Copyright(C)2012 beaspo Corp. All rights reserved