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2012.7.3

“クラシックホテルの朝”

「アイビールック」

 先日、卒業以来といえるほど久しぶりに高校の同期会に参加した。年月は残酷なもので、会った瞬間は誰が誰やら全くわからない。自分自身の変わりようを見れば当然なのだが。ところが、その中で見た瞬間に思い出せた人間がいた。それは、彼の服装からだった。いわゆる『アイビールック』である。体型は変わっているとはいえ、頭のアイビーカットもまんまなのだ。
 私の通った都立高校は自由と自治の校風で、制服はあったけれど、入学して一学期も過ぎると、ほとんどの学生は私服で登校するようになった。私服と言っても、ワイシャツに近いようなおとなしいシャツに、いわゆる替えズボンのようなものをはいて、寒い時には丸首やVネックのセーターというような地味なものだった。
 そんな時代にアイビールックが生まれた。そのリーダーは石津謙介が起こした『VAN』である。『VAN』は、アメリカのアイビーリーガーの学生スタイルをテーマにした既製服を発表して、男もオシャレをしようと提案した。その時代にも男のオシャレが無かったわけではないが、どちらかといえば特殊な人のもの。金持ち、芸能人、アウトロー。未だに一般男子は質実剛健の古臭い概念に縛られていたと思う。『VAN』はその概念を一気に壊してくれた。
 さて高校生の我々も、大いに『VAN』の刺激を受けたが、高校生の小遣いではおいそれと買えるものではないし、未だに“軟派”と思われたくないという気持ちもあった。確かに、我々の中ではサッカー部とかバスケット部とかの連中が着ていた。元々女子にもてる彼らが『VAN』を着て、カップルで歩いていたりするのは、悔しくも羨ましくもあった。どんな男でも『VAN』を着ればもてる様になる訳ではないが、男にとってもファッションはもてる為の重要な要素に、この頃から変わったのだろうと思う。
 以来50年近く、男のファッションは当たり前の事となり、ファッションを拒否していると奇人変人と思われたり、女房や娘が一緒に歩いてくれないなどと、さびしい思いをさせられたりすることにもなってしまう。
 今年から高齢者となり、リタイヤ生活に入る我々同期生。どんな服装をすれば良いのか悩みを打ち明けられたりするが、首尾一貫『アイビールック』をしている彼らは羨ましい限りである。
 さて、今更『アイビールック』は、と思っている人には、「“ビアスポルック”というのはどう」、と耳元でささやくのです。


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