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2015.4.15

“今年の桜”

「素材ミックス」

 歳を取ってからの着るものは、素材に一番気を使う必要があるように思う。若いうちだったらどんなものでも着こなせる。軽いものでも重いものでも、天然でもケミカルでも、若さのエネルギーがそれに負けることは無い。ところが、エネルギーが少なくなると無理が見えてしまうことがある。人一倍若ぶっている私が言うのは気が引けるが、強いものチープなものを着ていると、着ている自分がさらに貧相になっているのを認めざるを得ない。
ビアスポはブランドスタート時点ではバリバリのアウトドアブランドだから、ケミカルの頂点のような合繊機能素材を使っていたが、年月とともに天然素材の比率を高くしていった。お客様には申し訳ないことなのだが、企画者の老化の現われなのだ。
 天然素材では、最初は綿に注目した。人の歴史に一番馴染んできた素材でワイシャツ、Tシャツ、パンツと誰もがその着心地を分かっている。だからこそ素材の品質には大きな幅がある素材だ。綿の次は麻、そしてウールと経験していった。それぞれの糸の質、織り方や編み方での生地のバリエーションがあるが、品質を追求していくとそれは高価になると言う単純な結論だった。高級ブランド品を目指すビアスポではないので、ここはオリジナリティーを出せる方法ではないのだ。
 そこで始めたのが“素材ミックス”。素材ミックスと言えば、天然繊維の弱点をカバーするため、ナイロンやポリエステルの合繊とミックスするのがポピュラーだ。ビアスポではその手のミックス素材も使っているが、オリジナル素材は、天然素材同士のミックスを意識してやっている。綿/麻の素材はシャツ地やパンツ地に、綿/ウールはセーターやシャツ用のニット素材にかなり使っている。これらの場合、素材同士が相乗効果でそれぞれの長所を生かすことに成功している。そしてこのところ、これにベンベルグを加えた3者混を提案している。厳密にはベンベルグは天然ではないが、原料が綿そのものなので、私は天然素材と理解している。
 今回の新素材は『トリ鹿の子』と命名したニットの鹿の子素材で、生地の表側が綿と麻、肌に当たる裏側がベンベルグというものだ。鹿の子ニットはポロシャツに使われてポピュラーな素材だが、綿100%又は綿/ポリエステルがほとんどで、割合バリエーションの少ない素材だと思う。それら一般的な鹿の子とトリ鹿の子の違いは、生地表面の艶感、それに麻特有のシャリ感。そして内側のベンベルグがひんやりしたすべすべ感を持ち、汗の吸いも綿より良い。結果、素晴らしい着心地を裏付ける機能性を持ち合わせた、大人を盛り上げる上質な品質感を出すことに成功したと思っている。


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