[本日の写真]

2014.6.13

“メタリカルフラワー”

「ビジネス紳士」

 ウイークデイの黄昏時、珍しく銀座7丁目あたりで仕事が終わったので、久しぶりの友人と一杯やろうと言うことになった。銀座も良いが、新橋はどうかで一致したが、お互いに新橋は店にも心当たりが無いから、駅前で待ち合わせをすることになった。そう、テレビのサラリーマンインタビューのメッカ『SL広場』である。
 記憶の中にない事は無いが、ほぼ初めての場所だ。新橋駅の改札を出て目の前に広場がひろがり、奥にSLが鎮座している。広さはテニスコート三つ分ほどあり待ち合わせ場所としては取り留めないから、必然SLの前が人だかりになる。やがて、サラリーマンの待ち合わせタイム7時が近付くにしたがって、広場は真っ黒く埋め尽くされていくのだ。
 合流したサラリーマンたちはどこに流れていくか。待ち合わせ時間まで少し時間があったので、駅前の飲み屋街を探索した。駅前から何筋かある路地を中心として無数の居酒屋が犇めき合っている。和洋韓中亜様々な料理がリーズナブルな値段で供され、気軽に飲めるのだから、やはりここはサラリーマンの天国と言われるゆえんだ。駅へ帰ろうとして細い路地に紛れ込んだらなんと行き止まりのようだ。注意深く見るとそこは神社の社の裏側で人がかろうじて通れる隙間があり、小さな矢印が付いている。矢印に導かれて隙間を抜けると、なんと神社の正面へ出た。軽く会釈して門を出ると、そこは『SL広場』の見える路地の入り口であった。
 さて、友人との待ち合わせ時間、広場は人で埋め尽くされ、SLの前で待つ私を見つけることが出来るだろうか。こちらからは人の隙間から駅の改札がかろうじて見えている。心配は杞憂であった。二人は同時に確認することが出来た。こちらからは駅から出てくる友人のサラリーマンとは真反対の髪型や風体。友人のほうからはなんと私の帽子で分かったと言う。その時の私はパナマハットだったのだが。
 それを聞いて回りを見回してみたら、こんなに大勢居るのに帽子をかぶっているのがほとんど居ない。日が落ちているからとは言え、ここが渋谷のハチ公前だったら帽子をかぶってないほうが少ないだろう。やはりここはサラリーマンのメッカなのだ。最近は帽子の機能も認識され、おしゃれとしても意識されているから、この状態にはいささかビックリした。ビジネスシーンではいまだに帽子の復権は進んでいないと言うことか。ダークスーツに帽子をかぶっていると変わった奴と言う眼で見られているんだ。
 大正、昭和、サラリーマンのお父さんたちは、パナマ帽やハンチングをかぶってハンカチで首の汗を拭き拭き、扇子で顔をあおぎながら仕事に精を出していた。それが『紳士』の形と言われていた。今では『ビジネス紳士』と言われるには仕事へのモチベーションも下がっていて、着るスーツも消耗品の仕事着として、できるだけ安くダークスーツを手に入れているのが現状なのかもしれない。


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